株式会社和孝運輸様(宮城県)は、度重なる逆境のたびに卓越した経営判断により業態を変え、会社を強くしてきました。同社の代表取締役社長 馬場氏に、取り組みをお伺いしました。
御社の事務所は仙台港に近く、震災時には大変な被害に遭われました。
馬場津波の直撃を受け、付近から流れてきた乗用車が社屋にどんどん引っ掛かってきました。波が引くと、そこらじゅうがれきの山となっていました。
当社は元々一般貨物を扱ってきましたが、そうした惨状を見て仙台の復興には建築が欠かせないと思い、新しくユニック車を導入しました。従業員の資格取得をサポートし、私たちも復興のお手伝いをしようと自らの事業を変革したわけです。
そこで御社は飛躍を遂げるわけですが、2020年にまた新型コロナが立ちはだかります。
馬場どの運送業者さんも影響があったとは思いますが、とりわけ我々は外食産業の取扱が激減したため、影響が大きかったと思います。
ちょうどそれまでにSDGsの社会的必要性が叫ばれるようになったため、鉄スクラップの取扱いの準備を進めていました。我々の場合、東北6県と新潟、栃木、茨城、千葉の計10県で産業廃棄物収集運搬業の許可を得ることができ、県をまたぐお客様のニーズに幅広く対応することができました。おかげさまで、そうした選択肢の広さが、お客様からも好評をいただいて、コロナの影響も最小限に抑えられました。
御社は非常に早くから富士通デジタコを導入されていました。
馬場そうですね。基本的に運送業は差別化のポイントを打ち出しづらい。そこが価格競争に巻き込まれる理由なんですが、弊社は常に差別化するための材料を探してきました。クラウドデジタコはその一つです。リアルタイムに動画を取得することは、荷主様に対する安心感の材料になります。
また、労務管理オプションを活用し、荷主様との安定的で持続可能な関係性を築くことができました。
労務管理オプションで、ドライバーの勤務時間を労基法や改善基準告示などが定める基準に従って集計できますが、そうしたデータを元に荷主様と仮説を出し合い、検証し、原因を突き詰め、改善策を出すことで、2~3年かけて、互いに望ましい形にたどり着くことができました。
口でいくら言っても、客観的なものがなければ、荷主様だって何をどう改善すればいいのかわからないですよね。
最後に、今後の展望をお願いいたします。
馬場運送業が差別化のしづらい業界だと申し上げましたが、今後もDXを推進して、荷主様の利便性を高め、独自の差別化を図っていきたいと思います。
直近だと、荷主様の情報のセキュリティ性を高めることでDXマーク認証を得る取り組みを進めています(2021年11月現在)。そうした努力が、最終的には運送業全体を守ることにつながっていくと信じています。
ありがとうございました。